MCC C 言語部内講習会 第 3 回
この講座の対象の人
- MCC 部員
- C 言語を初歩から学びたい人
この後の内容をチラ見して内容を知っていそうだと判断できる人は次回以降の参加でも大丈夫です!
キャスト
キャストとは型変換です。以下にdouble
, float
, int
, long
のキャストの例を示します。
a = 1.500000
b = 1.500000
c = 1
d = 1
少数型を整数型にキャストしたら切り捨てされます。一部型では省略できます。
動的配列
今回は動的配列について学びます。その前に、配列についてちょっとだけ復習をしておこうと思います。
配列
配列とは、同じ型のデータを連続に並べたものです。 今まで学んだ配列変数の定義の仕方として、次のようなものがありました。
このように配列を定義した場合、上の例における arr
の長さ(サイズ)は 3
(4 × 3 = 12byte)で固定されており、範囲外は他のプロセスが使用しているため、後から伸長することは不可能です。
動的メモリ確保(malloc)
配列の長さ 10 個だけ必要なとき、100 個だけ必要なとき、1000 個だけ必要なとき...があると思います。予め 1000 個の長さの配列を作っても、10 個だけしか使わなければ 9990 個は無駄になります。このような場面には、malloc
関数を用いて動的にメモリを確保します。malloc
関数は引数で指定した分、メモリを確保し、確保したメモリのアドレスを返します。malloc
関数はヘッダファイル stdlib.h
に定義されています。次に malloc
関数の使用例を示します。#include <stdlib.h>
を忘れないでください。
上の例において、int*
型の変数 arr
は int 3
要素分のメモリを持っています。sizeof
は sizeof 演算子と言い、データ型の大きさを求める演算子です。ここでは int の大きさを求めています。以下に型のサイズの例を示します。arr
の長さ(サイズ)は 3
(4 × 3 = 12byte)で要素数 3 の int 型配列と同じように扱えます。malloc
関数は乱用ポインタ(void*
)を返すのでint*
にキャスト(型変換)してください。
type | ex. | result |
---|---|---|
char | sizeof(char) | 1 |
short | sizeof(short) | 2 |
int | sizeof(int) | 4 |
long | sizeof(long) | 8 |
次のようにして、ユーザーの入力分だけのメモリを確保することも可能です。コンソールで 10 と入力すれば n に 10 が入り、arr は要素数 10 の int 型配列になります。
さて、ここで malloc
関数について詳しく説明したいと思います。
この関数の引数は、size_t(unsigned int)
型の、確保するメモリの Byte 数です。注意点として、C 言語では型によってメモリのサイズが異なるため、異なる型を一つの配列に入れられないという点があります。具体例を次に示します。
また、変数のサイズを忘れ、以下の誤りをよく発生します。注意してください。
次に、返り値について説明します。malloc
の返り値は、void *
型で、確保されたメモリの先頭のポインタで、何かしらのポインタを意味します。このポインタのアドレスを基準に、配列の内容にアクセスします。アクセスの方法は普通の配列と同様にできます。void *
もint *
も中身はアドレス(整数)であるため、キャストができ省略もできます。void *
はfloat *
にもdouble *
にもキャストできます。int*
だったらインクリメントしただけでアドレスが+4 されたりします(配列で便利)。(short*
だったら+2、char*
だったら+1)
動的に確保したメモリの開放
さて、前項では述べませんでしたが、このように動的に確保したメモリ領域はプログラマが使い終わったタイミングで解放する処理も記述する必要があります。不要なメモリを開放して挙げないと、コンピューターのメモリを使い切ってしまいます。メモリを確保して不要になっても,
確保されたままだからです。不要なメモリを解放するために、free
関数を使います。利用方法としては、確保したポインタを free
関数に渡すことで実行することができます。次に例を示します。
このようにして、動的に確保したメモリ領域を解放することができます。
注意点として、一度解放したメモリ領域をもう一度解放しようとするとエラーが発生します。
free(): double free detected in tcache 2
Aborted (core dumped)
また、一度解放したメモリ領域を参照しようとしてはいけません。メモリの内容が破壊される可能性があります。
free し忘れても、基本的にプロセスが終了(プログラムが実行終了)すればメモリは勝手に開放されます。しかし、常時稼働のプログラム(サーバーなど)を作るときに、メモリ解放することを忘れないようにするため、free することを心がけてください。
構造体
次に、構造体を紹介します。 構造体とは、異なる型のいくつかの情報をまとめて一つの型として管理するためのものです。変数の箱の中に変数の箱が入っているイメージです。例を見てみましょう。
上の例では、int
型のメンバ変数 x
, y
を持つ Point2D
という構造体を定義しています。
実際に Point2D
型の変数を宣言する際には次のように行います。
また、Point2D
の持つ メンバ変数x
, y
には次のように.
でアクセスすることができます。
構造体を型として宣言(type definition)することで省略できます。下記のtypedef struct Point2D P2D;
は「struct Point2D
をP2D
とします。」という意味です。P2D はタグと言います。
構造体の宣言とその構造体を型として宣言することを同時に行うこともできます。
構造体のタグ名と型名に全く同じ名前を付けることもできます。
構造体が他の構造体をメンバに持つことも可能です。
構造体のポインタ変数を宣言することも可能です。
構造体のポインタ変数からメンバ変数にアクセスする際には->(アロー)演算子を使います。-(ハイフン)と>(大なり)です。
構造体のメモリを動的に確保することも可能です。ちなみにPoint2D
はint
型の変数が 2 つあるのでsizeof(Point2D)
は8
を返します。
構造体の配列も動的に生成できます。
Input lenght: 10
p[0].x = 0, p[0].y = 0
p[1].x = 1, p[1].y = 2
p[2].x = 2, p[2].y = 4
p[3].x = 3, p[3].y = 6
p[4].x = 4, p[4].y = 8
p[5].x = 5, p[5].y = 10
p[6].x = 6, p[6].y = 12
p[7].x = 7, p[7].y = 14
p[8].x = 8, p[8].y = 16
p[9].x = 9, p[9].y = 18
Input lenght: 5
p[0].x = 0, p[0].y = 0
p[1].x = 1, p[1].y = 2
p[2].x = 2, p[2].y = 4
p[3].x = 3, p[3].y = 6
p[4].x = 4, p[4].y = 8